LED照明リニューアル事例(市庁舎)

オフィスの省エネ手法

環境先進都市・横浜市がさらなる省エネを目指し実施した『大規模な照明リニューアル』とは

節電と温暖化対策の推進を図る

横浜市
温暖化対策統括本部
林 総 氏

横浜市では、早くから環境対策に注力し、「横浜スマートシティプロジェクト」「横浜グリーンバレー」「ヨコハマ・エコ・スクール」など様々な角度からの行政支援を実施し、省エネへの取り組みを展開。「Yokohamaエコ活。~あなたの毎日に、エコをプラスしよう。~」というキャンペーンでは市民の方々も参加し、市を挙げて省エネ活動を進めている。
また、平成23年6月には「横浜市節電・省エネ対策基本方針」を打ち出し、市庁舎の電力使用量を夏季ピークカット20%を目標に具体的な取り組みを推進中である。その一環として市庁舎全館LED照明化を目指しており、今回、市庁舎執務室の照明約2,000台が、直管LED照明にリニューアルされた。この執務室のLED照明化にあたっては、市民の貴重な税金を、より有効に活用するため、その効果を事前に確認する目的で採用商品の実証実験を行った。
市庁舎の照明を大規模LED化された経緯を、横浜市 温暖化対策統括本部である、林 総氏に伺ってみることにした。

省エネ効果、照度だけでなく、使用感まで含めた事前の実証実験

市庁舎の全館LED照明を導入するにあたり、その効果を事前に確認する目的で行なわれた実証実験では、公募による複数企業の協力の下、市庁舎の3階、8階の執務室に大きく分けて3つのタイプのLED照明器具(電源内蔵型、電源外付型、業界規格品)を試験設置した。
照度、省エネ効果は計器による計測で評価。消費電力に関しては、いずれの商品も既設の蛍光灯と比較して50%近くの省エネ効果が認められた。灯具直下の照度にバラツキはあるものの、照度の広がり具合は差がないとの結果を得る。加えて102名の市職員へのアンケート調査にて「ちらつき」「グレア(まぶしさ)」「色合い」「外観」についての3段階での評価等も実施された。

インタビュー動画
インタビュー動画

「試験設置をしてみて、消費電力や照度測定結果で言えば、各製品において明らかな違いはありませんでした。JEL801規格※1だろうが、JIS規格だろうが。ただ、「やはり不具合は起きるものだな」というのが実感ですね。
器具の中には本当に…あかりが消えてしまったものがありました。あれ?と思いました。「まさかそんなことないだろう」と考えていたところが自分の中にもありましたもので。」
※1 JEL801規格:(一社)日本電球工業会 による直管LEDランプと照明器具の統一規格。

器具選定(採用)の決め手は「規格品の信頼性」


横浜市市庁舎 執務室

「G13口金型はメーカーにより、付属品が別途必要なケースがあるなど、管理運用面を考慮すると、JEL801規格に対応した製品の優位性が認証された。JEL801規格製品には、規格品としての信頼性に加え、長期使用を考慮した場合の要求性能に関する統一的な仕様が確立されているのも今回の導入の決め手となっている。
また、リニューアル規模が大きいため、既存の器具本体を活かせるLEDランプ交換ユニットを採用。イニシャルコストを抑えつつ大幅な省エネ化を図りました。」

「仮にJEL801規格以外の照明を採用した時に、「互換性あるだろうか?」という点を検討してみたところ「この器具は、外にコンバーターを入れないとダメなタイプ」など器具ごとに様々な条件が入ってきました。
その中で、リニューアルする数千台の照明器具すべてをその条件ごとでの把握、管理を、はたしてできるのだろうか?
そこで、「各製品において消費電力、照度面では明らかな違いは見られない。」と考えた時に、将来のランプ交換時の商品供給の安定性を考えると、JEL801規格の優位性が認められました。」

LED照明器具のリニューアルで大幅な省エネと、快適な執務環境を実現。

LED照明器具は約4万時間の寿命があり10年は交換が不要と言われているが、今回のように数千台規模で導入する場合、初期費用も課題のひとつではあるが、故障の頻度が低い製品を選ぶ必要がある。また、他自治体で問題になった「ちらつき」等、執務環境への影響なども、管理運用面の安定性と併せて考慮されたようだ。

「実際に、LEDの導入に当たっては、問題視されている「ちらつき」など「本当に大丈夫なのだろうか?」という不安感もありましたので、これも実証実験を行なった理由でもあります。
おかげさまで本来の目的だった省エネ化も、平成22年の夏季ピーク時電力に対して3.6%節電効果を発揮。
また、約2,000台のLED照明となると長期的なメンテナンスの観点も考慮する必要があり、今回は規格に則った製品を選択しました。市庁舎が率先し導入する事で、他の施設や一般市民の方への啓蒙にもつながり、LED化が拡大することで将来的な市場価格の抑制も期待できるのではと考えています。」

今回の照明リニューアルでは、LED照明を導入するにあたり事前に実証実験を行い、その省エネ、視環境の検証と共に、長期的な視点でメンテナンスを考えた場合、安定的に該当製品又は互換品が入手できるJEL規格であることもポイントの一つであったようだ。照明リニューアルは季節変動の大きい空調エネルギーと違い、年間を通じて大きな省エネ効果を実現できる手法と言えるだろう。


会議室

横浜市市庁舎
市庁舎内照明全体の電力削減効果

今回のリニューアルに採用頂いた照明器具

製品名: 直管LEDランプ器具
特 長: 長寿命・省電力のLED
JEL801規格適合
直管LEDランプ器具
 
製品名: ランプ交換ユニット
特 長: 既存の蛍光灯器具の安定器と取り替えることで直管LEDランプを利用することが可能。給電部品の配線がすでに接続されたユニットとなっているため、取り替えが簡単・スピーディ。
ランプ交換ユニット
2013年 3月

その他のLED照明リニューアル事例ご紹介

トヨタ部品東京共販株式会社
株式会社アンデン