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2020年度LED照明製品試買調査報告

1 はじめに

一般社団法人日本照明工業会は、半導体照明(SSL)の普及加速により「あかり文化の向上と地球環境への貢献」を目指すとして、2014年9月に「照明成長戦略2020(LIGHTING VISION 2020)」を公表した。その重点課題の1つに「公正で適切な競争のできる健全な市場の再構築」を掲げ、標準化推進、試験所の育成・整備及び市場監視体制の確立を主な施策として進めることにした。そして、市場監視体制確立の具体的な施策として、「LED照明製品の試買調査」を定期的に実施することをJLMAの内規として規定し、2016年度から調査活動を開始した。2019年度も「照明成長戦略 2030(LIGHTING VISION 2030)」の中で継続して市場監視体制の強化を掲げ、試買調査を実施した。

2020年度の対象品目は、LED投光器とした。調査概要について、下記のとおり報告する。

2 調査サンプルと評価項目

2020年3月現在市場に流通しているものであって、LED投光器(屋外用、全光束20000 ℓm程度、色温度 5000 K、ビームの開き30~60°)を基準とした13社の製品を選定した。内訳は、会員企業製のものが10製品、会員以外が3製品である。なお、サンプル数は各製品あたり2台とし(各試験項目の試料数は1台ずつ)、電材卸売店、ネット通販から購入した。
評価項目は、性能を中心に以下の項目を選定し、表示以外は、第三者試験機関に委託して試験を実施した。なお、光学特性の評価は、内規に基づきJNLA登録試験機関(工業会指定試験所)に委託した。

  • (1) 器具寸法・質量
  • (2) 電気特性及び光学特性(ちらつき含む)
  • (3) EMC(高調波電流、雑音端子電圧)
  • (4) 絶縁抵抗、耐電圧及び保護導体電流
  • (5) 表示

2.1 評価結果の概要

電気・光学特性では全光束は2社、固有エネルギー消費効率は1社がJISの基準値を満たしていないなど、公表値から乖離して初期特性を満足していないものがあった。全光束は公表値の100 %以上が10社あり、全体としては公表値以上の明るさであったものの公表値の正確性を欠く製品がみられた。平均演色評価数については公表値を大きく下回る製品が2社あった。図1に全光束の公表値に対する比率、図2に固有エネルギー消費効率の公表値に対する比率を示す。EMCでは雑音端子電圧で1社、規格から外れる結果となった。図3に雑音端子電圧の許容値に対するマージンを示す。高調波電流については問題がなかった。
安全性については、耐電圧で1社が規格から外れる結果となった。絶縁抵抗、保護導体電流については問題なかった。青色光による網膜傷害においては、全製品がリスクグループRG0「何らの光生物学的傷害も起こさないもの」に分類された。
表示については、電気用品安全法に関する表示で問題があるものが2製品あった。

図1 全光束の公表値に対する比率

図2 固有エネルギー消費効率の公表値に対する比率

図3 雑音端子電圧の許容値に対するマージン

2.2 主な問題点

今回、判明した主な問題点は、(1)~(3)であり、サンプルとの対応関係を表1に示す。

  • (1) 雑音端子電圧における、電気用品安全法の不適合(不適合製品1社)
  • (2) 耐電圧における、電気用品安全法の不適合(不適合製品1社)
  • (3) 表示における、電気用品安全法の不適合(不適合製品2社)

表1 今回の調査で判明した主な問題点を有するサンプル(●印で示す)

販売事業者 会員 非会員
A社 B社 C社 D社 E社 F社 G社 H社 I社 J社 K社 L社 M社
問題点 (1)                        
(2)                        
(3)                      

3 まとめ

今回のLED投光器の試買調査では、既に市場で広く流通しているものを調査対象とした。一部に全光束値が公表値から乖離しているものや電気用品安全法の表示、雑音端子電圧、耐電圧、不適の製品が存在することが判明した。

市場に問題ある製品がまだ存在することから、今後、これらのLED照明製品の公正で適切な競争ができる健全な市場を構築して一層の普及促進を図るためには、業界として、今後とも市場監視を強化して、電気用品安全法への不適合等の問題製品の是正に努めることが肝要である。